手作りしたおせちのトコブシと黒豆の出来で、その年の良し悪しを気ままにに占う

毎年、黒豆とトコブシの煮物は、必ず手作りしています。夫婦共働きで、年末ぎりぎりまで仕事に追われているため、「今年は、やめておこうかなぁ~」と度々思うのですが、せめてこの二品は作らないと一年が終わらないような気になってしまいます。

黒豆はきび糖でコクを出し、艶を出す古釘は実家の納戸から調達

大掃除は、年が明けてからでもできますが、おせちはそう言う訳にはいきません。黒豆煮は、砂糖、醤油、重曹を合わせた煮汁に一晩つけておき、翌日の朝からコトコトととろ火で煮始め、こまめに灰汁をすくいながら約8時間。毎年、同じ手順、同じ味付けで煮ているつもりなのですが、なかなか思うようには仕上がらず、「今年は、大成功!」と自信を持てるのは、3年に一度くらいでしょうか。

味付けはコクのある甘みが欲しいので、「きび糖」を使用しています。醤油は、一般的な量よりも、我が家は多めだと思います。なぜなら、お酒のあてになるような味を目指してしまうからです。毎年ネックになるのは、古釘です。これが足りないと、あのツヤツヤな真っ黒な光を帯びた状態にならないので、見た目の有り難さがまったく変わってきてしまいます。

私が子供の頃には、どこにでもあったように思うのですが…。そこで、古釘の調達は、実家に帰ったときに納戸からひっぱり出してきます。圧力鍋を使えば、1時間もしないうちに出来上がることは分かっているのですが、黒豆がたてるコトコトという音と、炊事場に広がるなんともやさしい甘い香りが、一年間の様々な出来事をゆっくりと振り返る、私にとっては、とっても貴重な時間となっています。

お酒にも合う濃い目の味付けでトコブシを作るのが我が家流

トコブシ煮は、あっという間に出来上がるのですが、元旦の朝おせちを頂くときにふっくらと味がしみ込んでいるかどうかがポイントです。まず、トコブシをきれいに洗ったあと、日本酒をひたひたに入れたお鍋に並べ、沸騰したところへ、少し塩味をきかした出汁を入れ、再度沸騰したら終了。おせち料理と言うには、あまりに簡単すぎるのですが、少し濃い目の鰹の味がしっかりした出汁がトコブシ煮の出来を左右するのでとても気を使います。

そして、これを一晩ねかせるとなんとも日本酒にぴったりのトコブシ煮の出来上がりです。どちらも、そんなに手間のかかる料理ではないのですが、毎年同じものを作っていると、その時のできの善し悪しが、まるで新年を占っているような気がしてしまい、今年こそはと力が入りすぎてしまったりします。日々忙しくしていると、なかなかゆっくりと家族や自分を振り返ることが出来ません。せめて、一年の締めくくりとして、おせちを作りながら、ゆっくりと振り返る時間をこれからも大切にしたいと思います。